読書日記 今こそ読書をしよう!: 7月 2019

2019年7月10日水曜日

プロの障害者を目指して 大信田康統は今日もせっせと生きている

大信田康統は今日もせっせと生きている―"プロの障害者"をめざして-。 

高橋 文彦著


岩手県の障がい者福祉に携わる方々なら、この大信田さんを知っている
方も多いと思います。

この本が出版されたのは、平成12年ごろでちょうど私が大信田さんの
講演を聞く機会に恵まれた前後です。
大信田さん自身も、ちょうど盛岡市障害者自立支援プラザの所長になられた
頃と思います。

この本は以前から手にしたかったもので、何せ私自身も岩手県で障がい者福祉の
現場で働いていたからです。

障がい者福祉の発展は荒い歴史もあった

大信田さんは岩手県大迫町(現・花巻市)のご出身で、当時は雪深い、
鉄道も通らない街で、今のような障がい者や福祉という言葉や制度が
名も見えにくいような時代に育たれました。

しかし、大信田さんは子供のころから両親が障がいをオープンにして
育てられたことを背景に、自らの生きることへの反骨精神やチャレンジ精神
お持ちでそれ自体が、世間への障がいへの理解や障がい者への関わり方を
広めてきたと言えます。

田舎においては、現代でも人と違うということは受け入れがたい
環境がまだまだあります。障がいに限らず、個性が発揮できないからこそ
人は都会に流れるのだと私は考えています。

田舎町での反骨精神を持ちながらの生き方は、多くのスランプも越え、
苦痛にも耐えながら大信田康統という大きな大きな人間を作っていきました。

東京に出てからも、障がいを持った方が、健常者と同様に当たり前に生きられるよう
他の仲間のまとめ役となって、国と交渉するような大信田さんの姿は、障がいを
持った仲間の力になりました。

命がけで、行った数々の行動は障害者福祉の権利擁護や発展だけには留まらずに
障がい者の心の自立支援になりました。

大信田さんは権利を主張しただけでなく、それ以上の行動を起こした
精神があったからこそ多くの人の心を動かすことができたのです


無理だと決めつけたらそこで終わりだ

大信田さんは、障がいを持っているからといってできないことは実はそんなに
多くない
また、人に助けてもらうことが福祉の心を育ててもらうことになるという
この2点は、この本からとても心を打たれました!

無理だと思うことって成功事例がない、先例がない、一般常識から外れている
って勝手に決めつけていることが多いのではないでしょうか?

そんな現実に果敢に向き合ったのが大信田さんです。
健常者と同じことや、健常者でもなかなかやらないことをやる。
そのことで、自分に自信や希望が生まれ、人の心を感動させ動かすことができる。

プロの障がい者の方向性が見える気がします。
私も岩手県の福祉の仕事に従事する一人として、プロの福祉職人とは…を
追い求めて生きていきます。